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池上を紡ぐ vol.05「周りからの手助けは、素直に受け取る」英語教室の永冨さん

東京都大田区、池上(いけがみ)駅。池上本門寺の門前町として発展してきた、どこか懐かしさを感じるまちです。「池上エリアリノベーションプロジェクト」は、池上の魅力を掘り起こし、まちをさらに活性化させるために発足されました。
本プロジェクトの企画として立ち上がったのが、「池上を紡ぐ(つむぐ)」。長年池上で商売してきた方の歴史や想いを、丁寧に糸をつむぐように、池上で新しいことを始めたい次の世代に繋げていきたい。そんな気持ちで、この企画は誕生しました。

人から人へ、リレーのバトンをつなぐように取材を続けてきた本企画。前回は、フェイシャルサロンを運営する丹羽さんにお話を伺いました。丹羽さんにご紹介いただいた方が、キッズ英語教室「Academia Ti-da」を運営する永冨敦子(ながとみ あつこ)さん!

「教室をオープンさせたのは、ママ友に背中を押してもらったから」と永冨さんは話します。お話の中で感じたのは、永冨さんの周囲を明るくする前向きさ。そして、人に頼ることを選択できる勇気でした。

英語教室をオープンさせたきっかけは? どうして池上を選んだの? 地域の人とコミュニケーションを取るコツは? などなど、詳しくお話を伺いました!

英語の楽しさを子どもに感じてもらいたい

―― 永冨さんが運営する「Academia Ti-da(あかでみあ てぃーだ)」は、お子さまを対象にした英語教室なんですよね。

はい、幼児と小学生の子たちに英語を教えています。英語に対して苦手意識が生まれる前に、子どもたちに「英語って楽しい!」と感じてもらうことが教室の目標です。楽しく英語に触れてもらえるように、歌や踊りを取り入れつつレッスンを進めています。

レッスンのクオリティを保つため、各クラスの定員は最大で8名まで。少人数にすることで、一人ひとりがたっぷり英語に関われるようにしているんです。

―― 義務教育中の英語学習でつまずいて、語学に苦手意識を持ってしまう子も多い印象です。幼いころに「英語は楽しいんだ!」と思えたら、その後の学びにも影響しそうですね。

英語の勉強を義務として捉えると、なかなか「楽しい!」の気持ちは生まれてこないかもしれないですね。ティーダでは英語に親しんでもらうことを意識していて、高校受験や大学受験のクリアを目的にはしていないんです。

ただ「中学1年生までの英語の授業では、みんなをヒーローやヒロインにしてあげるよ」と子どもたちには伝えています。中学1年生までの基礎英語を、楽しみながら学んでもらう。英語の基礎を養えたら、そこからの積み上げがグッと楽になりますから。

―― 池上で英語教室をオープンしたのは、いつ頃ですか?

もともと、2009年4月から自宅の一室で英語教室を運営していました。ありがたいことに口コミで生徒さんが増えて、自宅でレッスンを行うには手狭になったので、2012年4月にこの建物で「Academia Ti-da(あかでみあ てぃーだ)」をオープンさせたんです。

出身は沖縄なんですが、結婚を機に住まいを池上に移していたので、教室をオープンするのも馴染みのある池上を選びました。

―― 永冨さん、沖縄のご出身なんですね!

そうなんです! 大学進学を機に上京して、それからはずっと東京で暮らしています。

池上に引っ越した理由は、子育てのことを考えたから。「どこで子育てしたいか?」を考えながら、夫とふたりで色々な駅を歩き回ったんです。池上の商店街の活気や、どこか懐かしさのある雰囲気にひかれて、夫とすぐに「この駅がいいね!」とピンときました。

2人の子どもを池上で育てていますが、池上を選んで正解だったと思っています。まちの人たちが子どもに気さくに話しかけてくれたりと、小さな子のことをさりげなく見守ってくれている印象なんですよね。子どもを育てやすいまちだなと感じています。

「働きやすさ」と「子育てのしやすさ」の両立

―― 「子育てがしやすい」というのは、実は本企画の取材の中でたびたびお聞きする言葉でもあって。そう感じる理由を、もう少し詳しくお聞きしてもいいですか?

まずは、公園が多い! 子どもの遊ぶ場所がたくさんあって、親としてはとても助かります。どの公園もある程度の広さがあるので、子どもがのびのび遊べるし。

あとは、池上には本門寺(ほんもんじ)という大きなお寺がありますよね。学校の遠足で本門寺に行ったからなのか、家族で参拝に行く際に他の人を見ているからか、親は教えていないのに子どもが門のところでペコッと一礼するんです。もう、感動してしまって。

親だけでは、子どもに教えてあげられない部分が必ずあると思うから。親が意識できない部分を学校や地域の人に教えてもらえるのは、本当にありがたいです。

―― 特に幼いころは、地域の方からマナーや常識を学ぶことも多いですもんね。

そうそう。私は英語教室を運営しているので、もちろん“働きやすさ”も大切なんです。ただ、それだけだと暮らすには足りなくて。子どもがいるから、やっぱり“子育てのしやすさ”もセットでほしい。池上は、そのふたつが両立しているまちだと思いますよ。

―― 永冨さんは、池上のどんな点を「働きやすい」と感じましたか?

生徒である子どもたちの親御さんが協力的だと感じています。

子どもは、関わるものをスポンジのようにグングン吸収していきます。吸収性があるうちに英語にたくさん触れてもらえるように、宿題を出すことも多くて。

ただ、家庭学習は、子どもが幼いうちは大人の協力がないと難しいんです。子どものやる気がないときは、宿題に手をつけるように親が促す必要があるから。子ども自身も大変だけど、親御さんにも同じように負担がかかるんですよ。

だけど「レッスンの中だけで英語をマスターさせてほしい」などのご指摘はなく、子どもをサポートする姿勢がこちらにも伝わってくる。英語を教える身として、とても心強いです。

―― コロナ禍によって、池上で働く方々にもたくさんの影響が出ています。ティーダには、なにか影響はありましたか?

ティーダでも、一時的に対面授業を取りやめて、オンライン授業で英語を教えていました。

子どもたちの学びをとめたくない一心で、どうにかオンライン授業ができる環境を整えたんです。機械は苦手だし、レッスン代をどうするかなどの課題はあったけど、「細々したことよりも、まずは子どもたちの意欲に応えなきゃ!」と思って。

―― 「子どもたちの学びをとめない」の言葉が、とても力強く感じました。永冨さんが教室を続けるうえでの、一本の軸になっているんでしょうか?

そうですね。私は、子どもには学ぶ権利が平等に与えられるべきだと考えているんです。だから、対面授業を一時的にとめる決断をしたときは本当に悔しかった。「意欲のある子どもたちがいるのに、授業ができないなんて……」と、もどかしさで夜眠れないほどでした。

子どもの意欲に応える。クオリティの高い学びを提供する。この考え方は、これからも私の中に残り続けると思います。どんな事業でも、自分の大切なものがブレなければ、それに向かって努力できるんじゃないでしょうか。

仕事も子育ても、周りの助けは素直に受け取る

―― 池上で事業を始める方の中には、地域にまだ頼れる存在がいない場合も多いと思います。永冨さんは、地域のお知り合いをどのように作りましたか?

私の場合は、子どもを通じて知り合うことが多かったです。公園や児童館で、子どものお母さんと友達になったり。いわゆる、ママ友ですね。

ママ友には、本当に助けてもらいました。自宅で英語教室を始めたのも、私が英語を話せることを知っているママ友が「自宅で、小さな子たちに英語を教えてみたら?」と提案してくれたから。最初の生徒さんは、みんなママ友の子どもたちなんです(笑)

―― 初めから大きな教室を開くのではなく、小規模からスタートするのはいいですね! 実際にやってみたらどうなるのか、という点を学べそうです。

ティーダに通う子どもたちの親御さんとも、よくお話しします。最近は幼稚園に出向いて子どもたちに英語を教えているんですけど、初めは教室に来てもらおうと考えていたんです。

それに対して「今は共働きが多いから、幼稚園が終わってから教室に子どもを送れる親は少ないよ。先生が幼稚園に行かなきゃ!」とアドバイスをくれたのも、親御さんのひとり。

幼稚園の多くは14時に終わるので、確かに共働き家庭だと教室までの送りが難しいんです。アドバイスのおかげで、いい形でレッスンを始められました。

―― 永冨さんは、周りからの提案やアドバイスを、素直に受け取っている印象です。困ったことなどは、ひとりで抱え込まずに相談するタイプですか?

もちろん自分の中で考えることもありますけど、仕事も子育ても、周りの助けは素直に受け取ります! ひとりではできないことも、人の助けがあればできるかもしれないから。

今も、ティーダの卒業生の子たちに「ティーダのSNSをやってみない?」と相談中です。集客のためにSNSの利用を検討中なんですけど、私はSNSの知識がまったくないから。ティーダを卒業した子たちがあと数年で大学生になるので、アルバイトとしてどうかなって。

―― 永冨さんのお話を聞いて、自分の手に余ることは積極的に周りに相談する勇気が、事業を行う中では必要なんじゃないかと思いました。
永冨さんから、池上で新しいことにチャレンジする方に、なにかアドバイスをいただきたいです!

地域の人と関わりたいなら、お客さんとして池上のお店に行くのもいいと思いますよ。美容室とか、飲食店とか。池上のお店に行ったときに、会話の中で地域の情報をゲットすることも私は多いです。

あとは、不安な気持ちがあっても「なんとかなる!」と楽観的に考えることも大切な気がします。仕事に子育てに、私も大変な時期はあったけど……。「なんとかなるでしょ!」と思いながらやってきて、今まで、とりあえずなんとかなってるし(笑)

池上は、人との繋がりを感じられるまちだと思うから。周りの人に支えてもらいつつ、自分のやりたいことに取り組んでほしいです。

―― 今日は、永冨さんの明るさにこちらが励まされました! それでは、次にインタビューする方のご紹介をお願いします。

池上の健康スタジオ「manaviva(マナビバ)」の初代店長である、西尾さんをご紹介します。マナビバを運営している株式会社スマイルラボの取締役の方でもあります。

マナビバは、ミドルやシニアの方に向けてさまざまな講座を提供しているスタジオです。実は、私も数年前からマナビバでシニアの方に英語を教えているんですよ。

マナビバは、池上のシニアの方々を元気づける役割を担っていると思います。ぜひ詳しくお話を聞いてみてください!

Academia Ti-da
住所 東京都大田区池上8-23-11
サンライズ大雄201
電話 03-6715-574
営業時間 15:00〜19:30
定休日 金曜日・日曜日
公式サイト https://ameblo.jp/academiatida//
取材・執筆:くまのなな(@kmn_nana